日本テレビの新谷保志アナウンサーの絶叫とともに、東海大学のスカイブルーのユニフォームが2 区の走者にたすきをわたす。
歯を食いしばりながらも、最後にサングラス越しに見えた表情は、笑顔だった。
タイムは、1時間1分6秒。
13年間破られなかった渡辺康幸の記録を7秒上回る、区間新記録だ。
先頭が走り抜けた後の鶴見中継所には、後続の姿はいつまでたっても見えてこなかった――。
2007年の第83回箱根駅伝。
東海大の佐藤悠基の激走は、まさに“空前”にして“絶後”の表現にふさわしいものだった。