公務員からプロ転向の川内優輝が、 東京五輪よりも重視するものとは。

 列島が注視した新元号発表の約3時間後、男子マラソン川内優輝は興奮気味に新たな一歩を刻んでいた。4月1日、プロランナーとしての初日。午後3時すぎ、シューズのひもを結び、軽快に大地を蹴った。

 3月31日で埼玉県庁を退職して“公務員ランナー”という愛称に別れを告げた。プロ初練習には埼玉・久喜市の自宅から行田市方面を回るコースを選んだ。50km走の予定だったが、途中で道に迷ったために走行距離は60kmに。これまでは勤務があったため平日は2時間程度のトレーニングしかできなかったが、月曜日に5時間弱、汗を流した。

「やりたいようにできる。すごく恵まれているな」

 心地良い疲労の中に、確かな実感があった。

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