第105回日本選手権10000m展望

 第105回日本選手権10000mがこの種目の東京オリンピック日本代表選手選考会を兼ねて、静岡・小笠山総合運動公園 エコパスタジアムにおいて開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京オリンピックは会期を1年ずらしての開催に。陸上競技は、今年の夏、7月30日に開幕することとなった。男子10000mは、大会初日の7月30日夜、オリンピック最初の決勝種目として行われ、女子10000mはトラック&フィールド種目実施の最終日となる大会9日目の8月7日夜、決勝が行われる。
 すでに昨年12月に開催された日本選手権長距離の10000mにおいて、ともに日本新記録を樹立して優勝した相澤晃(旭化成)と新谷仁美積水化学)が、参加標準記録を突破しての優勝という内定条件を満たして、ともに「1枠目」を獲得。このため、今大会では、男女ともに残り2つとなった代表枠を懸けて、選手たちはしのぎを削ることになる。即時内定を得るためには、3位以上の成績を収めたうえで、同レース終了時点で参加標準記録を突破していることが必要だ。
 女子、男子の順に、注目選手や見どころをご紹介する。

※情報や記録・競技会等の結果は、4月30日時点の情報で構成。

 

【女子10000m】
 昨年の日本選手権で30分20秒44の日本新記録を独走でマークして、この種目の内定第1号となった新谷仁美積水化学)は、当初出場するとみられていたが、最終的にエントリーを見合わせた。新谷が出場すれば、連覇は濃厚といえたので、代表入りを目指す選手たちにとっては標準記録突破とともに、“新谷対策”が必要になるところだったが、これによって、「残り2枠」を懸けてのガチンコ勝負に集中できることとなった。オリンピック参加標準記録は31分25秒00。この記録を有効期間内に突破している者は、エントリーしている選手のなかにはおらず、したがって、即時内定を得るためには、このレースで参加標準記録を突破したうえで、より上位で先着することが大前提となる。つまり、「記録も、勝負も」の戦いが求められるわけだ。気象条件にもよるが、当日は、標準記録突破を狙う複数選手によるハイペースのサバイバルレースが展開されることになるだろう。

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【男子10000m】
 男子10000mは、昨年の日本選手権同様に、資格記録順にAとBの2組に分けて、Bを第1組、Aを第2組として、タイムレースで実施される。20時24分にスタート予定の2組目に入るのは、日本人競技者の資格記録上位30名と、オープンで出場が認められた外国人競技者の資格記録上位2名の全32名。欠場者が出た場合は、その人数分が1組目から繰り上がる。
 相澤晃(旭化成)が27分18秒75の日本新記録を樹立して優勝を果たすとともに、内定条件を満たしてオリンピック代表内定者となった昨年12月の日本選手権は、2位の伊藤達彦(Honda、27分25秒73)、3位の田村和希(住友電工、27分28秒92)までが日本記録を更新したのを筆頭に、18位(1組目の3選手を含む)までが27分台をマーク。記録面では、上位3選手が日本歴代1〜3位を占めたほか、4位と6位でフィニッシュした河合代二(トーエネック、27分34秒86)と大迫傑Nike、27分36秒93、男子マラソンで代表に内定済み)も、それぞれ日本歴代6位・9位にランクインする高速レースとなった。今回、会場となるエコパスタジアムは、周回種目で記録の出やすいトラックと評価されている。気象条件にもよるだろうが、今回も第104大会に劣らず、記録・勝負の両面でハイレベルなレースを期待することができそうだ。

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