東京マラソン関連記事PartⅡ

設楽悠太らの成長を生んだ「MGC」。
駅伝とマラソンの関係性が変わる

 東京マラソン2018は、大成功だった。

 東京オリンピックへの最終選考レースとなる「MGC」(マラソングランドチャンピオンシップ)への切符を手にしたのが、日本記録を樹立した設楽悠太(Honda)をはじめ6人。2時間10分を切った日本人選手が合計で9人を数え、「MGC」という仕組みを作ることでこんなにもレベルがアップするものかと、改めてマネージメントの大切さを思い知らされた。

 私が思うに、長らく男子マラソンが不振だった理由のひとつに、「23歳シンドローム」が挙げられる。

「新卒者」が実業団に入ってから、トレーニング方法などの違いで環境にアジャストメントできないままでいると、成績が伸びずに数年をロスしてしまう。すると、モチベーションも失い、20代で現役を引退することになってしまう。

 しかし、東京オリンピックという身近な目標が設定されたことで、指導者、選手たちのモチベーションが上がり、大学で土台を作った選手たちがスムースに実業団のスタイルに移行できている。

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「自分流」を貫いた設楽悠太。言葉、積極性、大迫と村山の刺激。

 設楽悠太(ホンダ)がフィニッシュに向かう行幸通りに差し掛かったとき、日本記録更新のカウントダウンが響いた。私は我慢できずに思わず立ち上がった。

 解説席のモニターを見つめ、鳥肌がたった。

 2時間6分11秒。

 世界のトップと比べれば、まだ物足りない記録かもしれない。リオ五輪金メダリストのエリウド・キプチョゲ(ケニア)のベストタイムは2時間3分5秒。まだ3分、約1キロもの差がある。しかし、16年前から止まっていた時計の秒針が再び動きだしたのだ。

 今回の東京マラソンで日本記録が更新された布石をいくつか振り返ってみる。

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設楽悠太大迫傑の激走で
日本マラソン界は「オレ流」時代に突入か


 設楽悠太(Honda)が東京マラソンで16年ぶりに日本記録を塗り替えた。

スタートから先頭集団に入り、前半は1km2分58秒ペースで押した。20km地点では2位をキープして、日本記録を上回るペースが続いた。

「30kmでペース走が離れてから勝負」

 レース前に設楽はそう語っていたが、その30kmから遅れ始めた。ディクソン・チュンバケニア)ら外国人選手が急にペースを上げ、設楽はそのペースについていけず、置いていかれたのだ。

 通常は、ここで”勝負あった”となる。外国人選手たちのペースは変わらず、さらに前をいく井上大仁(ひろと/MHPS)は後半も粘り強く走ることができる選手。設楽自身も「負けた」と思ったというが、そう思うのも致し方ない展開だった。

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