設楽啓太「最後に見せたエースの背中」

 秋が過ぎ、冬を迎え、その兄弟の名は徐々に駅伝ファンの間に知れ渡っていった。

 設楽啓太と、設楽悠太

 東洋大学に進学した双子の兄弟は、駅伝シーズンを迎えるとロードで無類の強さを発揮し始める。最初に注目を集めたのは、兄である啓太の方だった。

 2010年10月11日、大学駅伝デビューとなった出雲駅伝で1区5位の好走。続く11月の全日本大学駅伝では同じ1区で区間賞(当時のコースにおける歴代5位のタイム)を奪ってみせた。年が明け、迎えた第87回箱根駅伝、啓太はルーキーながら各校のエースが揃う“花の2区”に抜擢され、周囲を驚かせた。

 啓太はここで区間7位と粘りの走りで、大会新記録での往路優勝に大きく貢献する。

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