カメラマンがレンズを向けると、きちんとしまってあるシャツの裾をさらにズボンの中にぐいぐいと押し込もうとした。本人が気にしているであろう腹の膨らみは、はた目には全く分からないので「気になりませんよ、右京さん」と声をかけたのだが、そこはアスリートの矜持なのだろう。
「去年11月に着任してから全く運動してなくて、半年で8kgも体重が増えちゃって……」
ばつが悪そうに言うのだった。
元F1ドライバーの片山右京は現在、自らの名を冠した「Team UKYO」の代表としてレーシングチームと自転車チームを率いている。そして昨年11月には、東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の運営責任者となるスポーツマネージャーの要職に就いた。
本業とも言えるロードレースだけでなく、トラックやマウンテンバイク、BMXなど自転車が使われるすべての競技がテリトリー。その業務はスーパーアスリートの片山でも目が回るほどの忙しさだという。