繰り上げスタートを免れたチームのように
東の空が白み始めたころ、予定より40分以上遅れてようやく小田太賀(2年)が姿を現した。
中継所にいたスタッフ、関係者がほっと胸をなでおろすなか、酒井俊幸監督はたまらず小田のほうに駆け寄っていった。
そして、静寂を切り裂くような檄を飛ばした。
「どれだけみんなに心配をかけたと思っているんだ! 最後まで走れ!」
小田はしっかりとした足取りで力を振り絞って、アンカーの相澤晃(3年)にリレーした。実は、大会運営側のミスがあり、小田は暗闇のなかコースアウトしタイムロスしたのだった。